「地方で税理士が全然見つからない」——取引先の地方経営者から、最近こんな声をよく耳にします。
当社は7回も税理士を変更してきました。7回変更できたのは、東京だから選択肢があったからです。正直に言うと、もしこれが地方だったら、と思うとゾッとします。
特に私が忘れられないのは、法人化直後に依頼した若手税理士の経理処理ミスです。役員貸付金が1,500万円になってしまい、実際には借入していないにもかかわらず、今も毎月30万円以上を会社へ返済し続けています。選択肢が少なければ、こうした「合わない税理士」と長期間付き合い続けるリスクはさらに大きくなります。
この記事では、地方で税理士が不足する構造的な理由をデータで解き明かし、私の実体験をもとに「地方でも良い税理士と出会うための打開策」を具体的にお伝えします。
【この記事の結論】地方の税理士不足:3つの原因と5つの解決策
| 課題と解決策 | 内容 |
|---|---|
| 税理士が不足する3つの構造的原因 | 1. 若手の都市部集中: 報酬やキャリアを求め、若手税理士が都市部に集まるため。 2. 業界の高齢化と後継者不足: 税理士の平均年齢は60歳超。地方では後継者が見つかりにくい。 3. 受験者数の減少: 税理士試験の受験者が減り、将来の担い手が不足している。 |
| 地方でも良い税理士と出会うための5つの打開策 | 1. 「オンライン税理士」を活用し、全国に選択肢を広げる。 2. 「税理士紹介サービス」で、複数の候補を比較検討する。 3. 「クラウド会計」を導入し、地理的な制約をなくす。 4. 税理士会や商工会議所の「紹介・相談制度」を利用する。 5. 単なる記帳代行ではなく、「経営パートナー」という視点で選ぶ。 |

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地方で税理士が不足する実態|都道府県別データで見る「税理士格差」
人口あたり税理士数の地域格差|東京と地方で最大8倍の開き
まず、データを見てください。全国の税理士登録者数は約8万2,000人超(2026年1月末時点)ですが、その分布は極めて偏っています。
以下は、都道府県別の人口10万人あたり税理士数です(2015年時点。総務省「国勢調査」の人口データおよび日本税理士会連合会の登録者数をもとに「とどラン」が算出)。
| 都道府県 | 人口10万人あたりの税理士数 |
|---|---|
| 東京都 | 162.18人(1位) |
| 大阪府 | 95.02人(2位) |
| 京都府 | 71.57人(3位) |
| 愛知県 | 69.16人(4位) |
| 全国平均 | 59.51人 |
| 長崎県 | 22.36人(45位) |
| 青森県 | 20.48人(46位) |
| 岩手県 | 19.93人(最下位) |
注意: 上記の人口10万人あたりの数値は2015年前後のデータに基づく推計値です。2026年1月末時点の全国登録者数は82,337人(日本税理士会連合会公表)であり、現在の都道府県別の人口あたり税理士数は上記の数値とは異なる可能性があります。なお、日本税理士会連合会は47都道府県別の登録者数は公式に公開しておらず、税理士会(地域ブロック)単位での公表にとどまっています。
東京都の人口10万人あたり162.18人に対し、岩手県は19.93人。その差は約8.1倍に上ります。全国平均(59.51人)と比較しても、東京都は約2.7倍、岩手県は約3分の1にとどまっており、都市部と地方の格差が際立っています。
さらに見落とせない構造的な問題があります。上場企業数・大企業数と税理士数には正の相関がある一方、中小企業数とは相関がないというデータがあります。つまり、中小企業が最も多い地方ほど税理士が少ないという逆説が起きているのです。
地方では税理士数が減少し続けている|5年間の推移データ
格差は縮まるどころか、拡大し続けています。
- 東京・大阪・愛知など大都市圏では税理士数が増加傾向
- 北陸・東北・北海道など地方では横ばい〜微減が続く
- 税理士が多い県ほど増え、少ない県ほど減るという「格差の自己拡大」が進行中
中小企業こそ税理士の助けが最も必要なはずなのに、中小企業が多い地方ほど税理士が少ない…この矛盾が、地方経営者の悩みの根底にあります。
税理士の高齢化と後継者不足が地方を直撃する理由
平均年齢60歳超|税理士業界の高齢化が止まらない5つの要因
税理士業界の平均年齢は60歳前後とされています。日本税理士会連合会が2014年に実施した「第6回税理士実態調査」(対象:32,747人)によると、60代以上が全体の53.8%(60代:30.1%、70代:13.3%、80代以上:10.4%)を占め、過半数に達しています。
一方、20代はわずか0.6%、30代も10.3%にとどまっており、若手税理士の少なさが顕著です。なお、このデータは約10年前の調査に基づくものであり、現在はさらに高齢化が進んでいる可能性があります。
一般企業であれば60代は定年を迎える年齢です。にもかかわらず、税理士業界では60代が”主力世代”として業界を支えている——この異常な年齢構成には、構造的な背景があります。
税理士業界が高齢化する5つの要因:
- 国税OBの免除制度
22歳で入署した場合、最短でも40代半ばに税理士登録できる。定年退職後に開業するケースも多い- 科目合格制による長期化
5科目合格に7〜10年かかることも珍しくなく、合格年齢が必然的に上がる- 定年がない職業特性
心身が健康な限り引退しないため、高齢者が現役に留まり続ける- 顧問関係の長期化
「信頼できる税理士を変えたくない」というクライアント側の心理が高齢化を後押しする- 後継者不足で引退できない
承継先が見つからず、廃業したくてもできないケースも存在する
また、80歳以上でも3,000人以上が現役就業しているというデータもあります。これは個人の話ではなく、業界全体の新陳代謝が機能していないことの表れです。
なぜ地方ほど後継者不足が深刻なのか
都市部なら、大手税理士法人による事務所の買収・承継という選択肢があります。しかし地方は個人事務所が大半で、税理士資格保持者しか承継できないという制約があります。
若手税理士が地方を選ばない理由はシンプルです。都市部の方が報酬が高く、大手法人での研修環境も充実している。IT・スタートアップなど成長企業の顧問先も都市部に集中しており、地方開業の経済的インセンティブが弱すぎるわけです。
これは個々の税理士を批判する話ではなく、純粋な経済合理性の問題です。ただ、地方の高齢税理士が急逝・引退した場合、顧問先が突然「税理士難民」になるリスクは都市部より格段に高いということは、経営者として理解しておく必要があります。
地方の中小企業が受ける「税理士不足」の実害とは
選択肢がないから「合わない税理士」と付き合い続ける罠
正直に言うと、「我慢の顧問関係」は経営に静かに、しかし確実にダメージを与えます。
私が7回変更できたのは、「次の選択肢がある」とわかっていたからです。地方ではその前提が崩れます。多少不満があっても我慢せざるを得ない。その結果として経営者が被る影響は次の3つです。
- キャッシュフロー悪化:適切な節税提案がなく、払わなくていい税金を払い続ける
- 融資の不利:決算書の質が上がらず、銀行からの評価が低いまま推移する
- 経営判断の遅れ:月次決算が機能せず、数字に基づく経営ができない
私が7回目の税理士に変更した後、年間約350万円のキャッシュフローが改善しました。これは地方の経営者が「我慢の顧問関係」を続けることで失い続けているかもしれない金額と同水準です。
顧問料の地域格差と「安かろう悪かろう」の構造
地方は顧問料が安い傾向があります。これ自体は悪いことではありませんが、問題は「安さで選ばざるを得ない」状況に追い込まれることです。
私の1回目の失敗がまさにそれでした。「とりあえず安ければいい」と思って選んだ個人税理士は、確定申告の時期にしか連絡がこない。経営アドバイスは皆無。税理士の役割を一番勘違いしていた時期です。
選択肢の少なさが「安さで選ぶ」という判断を誘発してしまう——この構造的な問題が、地方の経営者を「安かろう悪かろう」の罠に落とし込んでいます。
税理士不足を生む構造的な3つの原因|業界の仕組みから読み解く
原因①:税理士試験の受験者数が減少し続けている
税理士試験の受験者数は2005年の約5.6万人をピークに減少を続け、2020年には約2.6万人まで落ち込みました。2023年には受験資格緩和の効果もあって約3.3万人まで回復しましたが、ピーク時と比べると約40%減という状況は変わっていません。
合格者のデータを見ても、5科目合格者の「41歳以上」の割合が約4割を占めており、若年層の合格者は少ない状況が続いています。将来的な税理士の供給量を決めるのは「今の受験者数」です。その水準が低ければ、10〜20年後の業界に影響が出てきます。
なお、2023年の受験資格緩和(会計科目の受験資格撤廃)により受験者数は増加傾向にあります。ただし、試験合格から実務経験を経て登録するまでには数年を要するため、地方の税理士不足解消への効果が出るまでにはさらに時間がかかるでしょう。
原因②:若手税理士が都市部に集中する経済合理性
若手税理士が地方を避ける理由を「情熱がない」と批判するのは的外れです。純粋に経済合理性の問題です。
- 大手税理士法人の本拠地は都市部に集中
- 都市部の方が報酬水準が高く、キャリアアップの機会も豊富
- IT・スタートアップという成長分野の顧問先は都市部に集中
- 地方で開業しても、高齢化した既存顧客を引き継ぐ以外の選択肢が少ない
IT企業の経営者として、優秀な人材が経済合理性に従って選択することは十分理解できます。問題は、この「合理的な選択」が地方の税理士不足を構造的に深刻化させている点にあります。
原因③:デジタル化の遅れが地方の税理士不足を加速させる
これはIT出身の私が特に危機感を覚えるポイントです。
業界全体の平均年齢が60歳を超えているということは、デジタルツールへの親和性が低い税理士が多数を占めるということでもあります。クラウド会計ソフトに対応できない税理士事務所が地方に多く、電子申告の義務化など税務のデジタル化が急速に進む中で、高齢化した地方事務所ほど廃業や実質的な機能不全に陥るリスクが高まっています。
デジタル化の遅れが地方の税理士不足をさらに加速させる——この悪循環が、地方経営者の選択肢を着実に狭めています。

地方でも良い税理士と出会うための5つの打開策
「変化を恐れるな、現状維持こそがリスク」——これは私の座右の銘です。地方で税理士が少ないという現実は変えられませんが、その現実に対処する方法はあります。
打開策①:オンライン税理士・リモート顧問という選択肢
クラウド会計とオンライン面談の普及により、「地理的に近い税理士」にこだわる必要がなくなってきました。
クラウド会計ソフトを利用することで、全国どこにいるクライアントともリアルタイムでデータを共有しながら、月次報告や経営相談をオンラインで実施できます。チャットやビデオ会議を活用したサポートも広がっており、まるで「社内に税理士がいる」ような感覚での対応が可能な事務所も増えています。
| メリット | 注意点 | |
|---|---|---|
| オンライン税理士 | 選択肢が全国規模に拡大/迅速なレスポンス | 融資の銀行同席など対面が有利な場面も |
| 従来の近隣税理士 | 対面の安心感/地元金融機関との関係 | 選択肢が限られる |
IT企業の経営者として言わせてもらうと、オンラインでの顧問は十分に機能します。ただし、銀行融資の際に税理士が同席してくれる場面では対面の強みも活きる。用途に応じた使い分けが現実的です。

打開策②:税理士紹介サービスを賢く活用する
私が7回目(現在も継続中の理想の税理士)と出会えたのは、税理士紹介サービスを通じて複数の税理士を比較検討できたからです。これが決定的に違いました。
紹介サービスの強みは「比較できること」です。地方にいても、複数の候補を並べて検討できる。地理的制約を超えた選択が可能になります。
紹介サービスを選ぶ際のポイント:
- 無料で利用できるか
- マッチング後のフォローがあるか
- オンライン対応の税理士も紹介できるか
- 自社の業種・規模への理解があるか
打開策③:クラウド会計ソフトの導入で税理士との連携を効率化する
マネーフォワード・freee・弥生などのクラウド会計ソフトは、地理的制約を解消する「インフラ」として機能します。
クラウド会計×遠方の税理士という組み合わせで実現できることは、
- 領収書の電子化でデータを即日共有
- 月次決算をリアルタイムで確認
- ビデオ会議で画面を共有しながら経営数字を議論
7回目の税理士に変えてから「経営数字が見えるようになった」と実感できたのは、月次決算の質が向上したからです。そしてその質の向上には、クラウド会計によるデータ共有の効率化が大きく貢献しています。各クラウド会計ソフトの「認定アドバイザー制度」から、オンライン対応に強い税理士を探す方法も有効です。
打開策④:税理士会の紹介制度・自治体の無料相談を活用する
意外と知られていませんが、日本税理士会連合会のウェブサイトでは全国の税理士を検索できます。各地域の税理士会でも紹介制度を設けており、地方でも活用できます。
また、商工会議所や中小企業支援センターが提供する無料税務相談は、税理士を探す前の「情報収集」として有効です。ただし、あくまで接点を作る入口として活用し、その後しっかり比較検討することが重要です。
地方ならではの強みとして、銀行・商工会議所のネットワークや地元経営者コミュニティの口コミも活用したいところです。私の7回目の税理士は、知人経営者からの紹介をきっかけに紹介サービスで比較検討して選びました。口コミには信頼性の初期担保があります。
打開策⑤:「経営パートナー」としての税理士を選ぶ視点を持つ
最後に、これが最も根本的な打開策です。
税理士は「税務処理の外注先」ではなく、「経営のパートナー」であるべきです。私の7回の変更経験から、良い税理士を見極めるポイントを整理しました。
| チェックポイント | 確認方法の目安 |
|---|---|
| レスポンスの速さ | 初回問い合わせへの返信スピードで判断 |
| 税務処理の正確性 | 過去の実績・参照先を確認する |
| 経営アドバイスの有無 | 「節税以外の提案」をしてくれるか聞く |
| 節税提案のバランス感 | 攻めすぎる提案は逆にリスクのサイン |
| 担当者の一貫性 | 大手法人では担当者が変わりやすい点を確認 |
| 業界知識 | 自社の業種の顧問実績があるか確認 |
| コミュニケーションの相性 | 初回面談の印象を大切にする |
地方だからこそ、妥協してはいけません。選択肢が少ない中だからこそ、「何を優先するか」の軸を明確に持つことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 地方で税理士が最も不足している地域はどこですか?
人口10万人あたりの税理士数で見ると、岩手県(約20人)・青森県・長崎県・秋田県・山形県が特に少ない地域です。東京都(約162人)と比べると約8倍の格差があります。東北・北陸・四国・沖縄は全体的に少なく、後継者不足も深刻な状況です。
Q. 税理士の平均年齢が60歳以上というのは本当ですか?
本当です。日本税理士会連合会のデータによると、60歳代以上が全体の過半数を超えており、20代はわずか0.6%です。国税OBの免除制度や科目合格制の特性上、登録時点で高齢になりやすい構造があります。80歳以上で現役の税理士も3,000人以上います。
Q. 地方で良い税理士が見つからないときはどうすればいいですか?
地理的制約を解消するために「オンライン税理士・リモート顧問」の活用を検討してみてください。クラウド会計ソフトとZoom等を活用すれば、都市部の優秀な税理士に顧問を依頼できます。税理士紹介サービスや税理士会の紹介制度も有効な手段です。
Q. オンライン税理士やリモート顧問は信頼できますか?
クラウド会計ソフトの普及により、オンラインでの税務顧問は十分に機能する時代になっています。リアルタイムでデータを共有でき、チャットやビデオ通話で迅速に相談できるメリットがあります。ただし、地域の金融機関との関係構築が必要な場面(融資同席など)では対面が有利な場合もあるため、用途に応じて使い分けるのがおすすめです。
Q. 税理士を変えたいけれど、地方だと選択肢が少なくて不安です。どうすればいいですか?
地方でも選択肢を広げる方法はあります。
- オンライン対応の税理士を候補に入れる(地理的制限なし)
- 税理士紹介サービスを利用する
- 地元の商工会議所や銀行に相談する
- 経営者コミュニティでの口コミを活用する
「変化を恐れるな、現状維持こそがリスク」——これは私の座右の銘です。不満を感じながら現状に留まり続けることの方が、変更するリスクよりずっと大きいと私は考えています。
Q. 税理士の後継者不足は今後どうなりますか?
2023年の受験資格緩和など制度面の変化はありますが、すぐに解消される見込みは低いです。特に地方では、若手税理士の供給不足と高齢税理士の引退が同時進行するため、今後さらに深刻化する可能性があります。地方の経営者は今のうちから「地理的制約に縛られない税理士との付き合い方」を考えておくことが重要です。
Q. 地方で税理士を探す際、費用の相場はどれくらいですか?
地方の税理士顧問料は都市部に比べて安い傾向がありますが、月額1〜5万円程度が中小企業の相場です。オンライン対応の税理士はITツール活用で業務を効率化しているため、比較的リーズナブルな場合もあります。ただし、私の1回目の失敗談でもお伝えしたとおり、安さだけで選ぶと質が伴わないリスクがありますのでご注意ください。
まとめ
地方の税理士不足は、税理士の都市部集中・業界全体の高齢化・後継者不足という構造的な問題が複合的に絡み合って生じています。一朝一夕に解決できる問題ではありません。
ただ、クラウド会計やオンライン面談の普及により、地理的制約を超えた税理士との連携は十分に可能な時代になりました。私自身、7回の税理士変更で痛い失敗も経験しましたが、だからこそ「妥協しない税理士選び」の大切さを伝えたいと思います。
地方だからといって、合わない税理士と付き合い続ける必要はありません。まずは一歩踏み出して、あなたの経営を変える税理士と出会ってください。
そうだ、税理士を変えよう。
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✓ 私が7回も税理士を変更した理由、それは…
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税理士選びで失敗すると、年間数百万円のキャッシュを失います。
私自身、2人目の税理士の経理処理ミスで社長に役員貸付金1,500万円が発生し、
社長は今も毎月30万円以上を返済し続けています。私が選んだ税理士のミスで、社長に大きな負担をかけてしまいました。
でも、7社目の税理士に出会ってから、年間350万円のキャッシュが残るようになりました。
「税理士を変えたいけど、どうやって探せばいいかわからない…」
だからこそ、私は自らの失敗経験を活かして「税理士ベスト」を創りました。
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