正直に言うと、私は月次決算の重要性を甘く見ていた時期があります。
創業当初は「年に1回の決算さえ乗り越えればいい」と思っていましたが、7回の税理士変更を経て、月次決算の質こそが経営の成否を分けると確信しました。
結果として、適切な月次決算を行う税理士に出会ったことで年間350万円のキャッシュフローが改善し、経営が劇的に変わりました。
この記事では、14年間の実体験をもとに、月次決算を税理士に依頼すべきかどうかの判断材料をメリット・デメリット・費用相場の3つの観点からお伝えします。
【この記事の結論】月次決算を税理士に依頼すべきか?
| 疑問・論点 | 結論とポイント |
|---|---|
| 税理士に依頼すべき? | 年商1,000万円以上で、節税や融資を考えているなら「依頼すべき」です。 |
| 主なメリットは? | 「最適な節税」「迅速な経営判断」「融資がスムーズ」の3点が最大のメリットです。 |
| 費用はいくら? | 法人の場合、月額3万円〜が相場です(年商や依頼内容で変動)。決算料は別途かかります。 |
| 注意点は? | 「継続的な費用」「税理士への依存」「税理士の質」がデメリットになり得ます。 |

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月次決算とは?年次決算との違いと中小企業に必要な理由
「月次決算」と聞くと、経理の専門業務で難しそうだと感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その本質は非常にシンプルです。まずは月次決算の基本と、なぜ特に私たち中小企業にとって重要なのかを解説します。
月次決算の基本|毎月行う決算業務の概要
月次決算とは、その名の通り「毎月行う決算業務」のことです。通常、年に一度行う年次決算とほぼ同じような会計処理を月単位で行い、その月の会社の財政状態や経営成績を明らかにします。
年次決算との最も大きな違いは、その目的と法的な義務の有無です。年次決算が税金の申告や株主への報告といった外部への報告を目的とし、法律で義務付けられているのに対し、月次決算はあくまで社内向けの経営判断を目的とした任意の業務です。
| 項目 | 月次決算 | 年次決算 |
|---|---|---|
| 目的 | 経営状況のタイムリーな把握、経営判断 | 外部への業績報告、税務申告 |
| 法的義務 | なし(任意) | あり(会社法・税法) |
| 精度 | スピード重視(概算での処理も可) | 正確性重視(確定値) |
| 作成資料 | 月次試算表、月次報告書など | 確定申告書、決算報告書など |
月次決算では、主に「月次試算表」と呼ばれる損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)を作成し、その月の利益や資産の状況を把握します。年次決算ほど厳密な精度は求められず、スピードが重視されるのが特徴です。
なぜ中小企業こそ月次決算が必要なのか
「大企業ならまだしも、うちのような中小企業に月次決算は必要なのか?」と思われるかもしれません。しかし、私の経験上、年商1,000万円〜3億円規模の会社こそ、月次決算から最も大きな恩恵を受けられると断言します。
その理由は主に3つあります。
1. 経営判断のスピードアップ
月ごとの損益がタイムリーに把握できるため、「どの事業が儲かっているのか」「どこに無駄なコストがかかっているのか」が一目瞭然になります。これにより、予算と実績のズレを早期に発見し、迅速な経営の軌道修正が可能になります。
2. 最適な節税対策のタイミング
「決算が終わってみたら思ったより利益が出ていて、もっと節税できたはずなのに…」という経験はありませんか?年次決算だけでは、期中の節税対策のタイミングを逃してしまいます。
私も2人目の税理士の時にこの失敗を経験しました。月次で利益の着地見込みを把握していれば、決算前に慌てることなく、最適なタイミングで節税対策を打つことができます。
3. 銀行融資での信頼獲得
銀行から融資を受ける際、過去の決算書だけでなく、直近の業績を示す「月次試算表」の提出を求められるケースがほとんどです。月次決算を適切に行い、自社の経営状況を正確に説明できる会社は、銀行からの信頼度が格段に上がります。
実際に、中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21でも、「月次決算書を持っていれば融資交渉を有利に進められる」と言及されています。
月次決算は、単なる経理業務ではなく、会社の未来を左右する重要な経営ツールです。
参考: 月次決算の考え方と導入方法について教えてください。 – J-Net21
月次決算を税理士に依頼する5つのメリット|経営者が実感した効果とは
月次決算の重要性は理解できても、「具体的にどんな良いことがあるのか?」が気になるところでしょう。ここでは、私が7回の税理士変更を経て実感した、月次決算を税理士に依頼する5つの具体的なメリットを、実体験を交えてご紹介します。
メリット①:節税対策を最適なタイミングで実行できる
本音を言えば、これが最大のメリットかもしれません。 月次決算を導入することで、決算月の直前になって慌てて節税対策を探す必要がなくなります。
月次で利益の進捗を正確に把握していれば、納税額の予測が立てやすくなります。そして、利益が出ているタイミングで、「役員報酬の最適化」「小規模企業共済への加入」「広告宣伝費の前倒し」といった節税策を計画的に実行できるわけです。
私自身、7人目の税理士と月次決算を徹底的に見直したことで、これらの施策を最適なタイミングで実行できるようになり、年間で約350万円ものキャッシュフロー改善につながりました。決算のみを依頼していた頃は、期末に「もっと早く分かっていれば…」と後悔することばかりでしたが、今ではその心配は一切ありません。

メリット②:経営数字が「見える化」され、迅速な意思決定ができる
「勘や経験」だけに頼った経営は、現代では非常に危険です。月次決算は、その危険な経営から脱却し、数字に基づいた的確な意思決定を可能にしてくれます。
質の高い月次決算報告書は、単なる数字の羅列ではありません。
- どの事業部が利益を稼いでいるのか?
- どの商品が赤字の原因になっているのか?
- 先月と比べて、なぜ販管費が増えたのか?
こうした経営のボトルネックや好調要因が「見える化」されるわけです。私の会社でも、月次決算の質が向上したことで、不採算事業からの撤退や、利益率の高い事業への集中投資といった経営戦略を、自信を持って迅速に下せるようになりました。
メリット③:銀行融資がスムーズになる
事業を拡大していく上で、銀行からの融資は避けて通れません。そして、融資審査の場で金融機関が最も重視するのが、「会社のリアルタイムな業績」です。
年に1回の決算書だけでは、審査時点での最新の経営状況は伝わりません。そこで重要になるのが、税理士が作成した信頼性の高い「月次試算表」です。
定期的に月次決算を行い、常に最新の経営状況を把握・説明できる体制を整えている企業は、金融機関からの信用力が格段に向上します。
私も、現在の税理士になってから決算書の質が劇的に改善し、銀行からの信頼が厚くなったと実感しています。融資の申し込みや条件交渉の際に、税理士が同席して専門的な見地から事業計画を説明してくれることも、非常に心強いポイントです。
メリット④:年次決算の負担が大幅に軽減される
決算月になると、経理担当者が残業続きになったり、社長自身が通常業務を後回しにして帳簿の整理に追われたり…といった光景は、多くの会社で見られます。
月次決算を導入すれば、この決算期の業務集中を劇的に緩和できます。なぜなら、年次決算は、12ヶ月分の月次決算の積み重ねに過ぎなくなるからです。
毎月、領収書の整理や記帳、勘定科目のチェックを済ませておくことで、数ヶ月前の不明な取引を必死で思い出すような手間はなくなります。記帳ミスや証憑の抜け漏れも早期に発見・修正できるため、年次決算の土壇場で大きな問題が発覚するリスクも防げます。
メリット⑤:本業に集中できる時間が生まれる
最後になりますが、これは経営者にとって非常に重要なメリットです。月次決算を信頼できる税理士に任せることで、経営者は経理業務そのものから解放され、本来注力すべき本業に集中できるようになります。
私の持論ですが、経営者は「数字を作る側」ではなく「数字を読んで意思決定する側」に回るべきです。面倒な会計処理や資料作成は専門家である税理士に任せ、そこで生まれた時間とエネルギーを、事業計画の策定、新規顧客の開拓、従業員の育成といった、会社の未来を創る活動に投資する。
この好循環を生み出すことこそ、月次決算を外注する本質的な価値だと考えています。
月次決算を税理士に依頼するデメリットと注意点|失敗しないための3つのポイント
もちろん、月次決算を税理士に依頼することはメリットばかりではありません。特に、私の過去の失敗経験から、注意すべき点が3つあります。
これらを知らずに契約すると、「高いお金を払っているのに意味がない」という最悪の事態に陥りかねません。
デメリット①:継続的な費用負担が発生する
当然ですが、税理士に月次決算を依頼すれば、継続的に顧問料が発生します。法人の場合、月額3万円〜6万円程度が相場となっており、決して安い金額ではありません。会社の規模や依頼する業務範囲によっては、さらに費用がかさむこともあります。
しかし、ここで重要なのは、この費用を「コスト」と捉えるか、「投資」と捉えるかです。
私の経験から言えば、質の高い月次決算によって得られる節税効果や経営改善効果は、顧問料をはるかに上回ります。事実、私は年間数十万円の顧問料を支払っていますが、それによって年間350万円のキャッシュが手元に残っているのです。目先の費用だけで判断するのではなく、費用対効果を見極める視点が不可欠です。
デメリット②:税理士に依存しすぎるリスク
「専門家に任せているから安心」と、すべてを税理士に丸投げしてしまうのは危険です。税理士に依存しすぎると、経営者自身が自社の数字を読む力が育たず、いつまで経っても「どんぶり勘定」から抜け出せません。
私もかつてはそうでした。しかし、6人目の税理士との苦い経験から、「税理士と対等に話せるレベルの知識を持つことが重要」だと痛感しました。月次決算で出てきた数字の意味を理解し、「なぜこうなったのか?」「来月はどうすべきか?」を自ら考え、税理士と議論する。この姿勢があって初めて、月次決算は真の経営ツールとなります。
デメリット③:税理士の質によって月次決算の価値が大きく変わる
これが最も重要なポイントであり、私が7回も税理士を変更した根本的な理由です。 はっきり言って、月次決算を依頼しても、その税理士の質が低ければ全く意味がありません。
私の経験をお話しすると、6人目の税理士は経営コンサルタントとしての能力は素晴らしかったのですが、肝心の税務処理が雑でミスが多く、安心して任せることができませんでした。また、2人目の税理士に至っては、経理処理のミスが原因で、私(当時は役員)に1,500万円もの役員貸付金が発生してしまうという、とんでもない事態になりました。
この経験から学んだのは、「良い月次決算は、良い税理士からしか生まれない」という事実です。月次決算の導入を検討するということは、すなわち「経営のパートナー選び」を始めることと同義なのです。
月次決算の費用相場はいくら?顧問料・決算料の内訳と料金体系を徹底比較
「実際に税理士に依頼すると、いくらかかるのか?」これは経営者にとって最も気になる点でしょう。ここでは、2026年現在の最新の費用相場について、料金体系の内訳から年商規模別のシミュレーションまで、具体的に解説します。
月次決算型の顧問契約にかかる費用の内訳
税理士との顧問契約は、主に以下の3つの費用で構成されるのが一般的です。
- 月額顧問料
毎月発生する基本料金。月次決算書の作成、税務相談、経営アドバイスなどが含まれます。 - 決算料
年に1回の年次決算および法人税申告書の作成・提出にかかる費用。 - オプション費用
記帳代行、給与計算、年末調整、税務調査の立会いなど、基本契約以外の業務を依頼した場合に発生します。
月額顧問料と決算料の相場は、以下の通りです。
- 月額顧問料 → 法人の場合、月額1.5万円〜5万円程度が相場です。
- 決算料 → 月額顧問料の4〜6ヶ月分が一般的です。
例えば、年商2,000万円の法人で月額顧問料が3万円の場合、「月額顧問料3万円 × 12ヶ月 + 決算料18万円(3万円×6ヶ月分) = 年間54万円」というのが一つの目安になります。
年商規模別|月次決算の費用シミュレーション
月額顧問料は、会社の売上規模や取引の複雑さ(仕訳数)、訪問回数などによって変動します。以下に、年商規模別の費用相場を表にまとめました。
| 年商規模 | 月額顧問料の相場 | 年間費用の目安(決算料含む) |
|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 1万円 〜 2万円 | 20万円 〜 40万円程度 |
| 1,000万 〜 3,000万円 | 2万円 〜 3.5万円 | 35万円 〜 55万円程度 |
| 3,000万 〜 5,000万円 | 3万円 〜 4.5万円 | 50万円 〜 70万円程度 |
| 5,000万 〜 1億円 | 3.5万円 〜 5万円 | 60万円 〜 85万円程度 |
ただし、これはあくまで目安です。私が常々お伝えしているのは、「相場より高いか安いかではなく、その費用に見合う価値を提供してくれるかが最も重要」という点です。安さだけで選ぶと、結局質の低いサービスしか受けられず、後で高くつくケースがほとんどです。
「決算のみ依頼」と「月次顧問契約」の費用対効果を比較する
「コストを抑えたいから、年に1回の決算だけを依頼したい」と考える方もいるでしょう。確かに、決算のみをスポットで依頼する場合の費用相場は15万円〜25万円程度であり、年間の費用だけを見れば月次顧問契約よりも安く済みます。
しかし、本当にそうでしょうか?
決算のみの依頼では、メリット①で述べたようなタイムリーな節税提案を受ける機会を完全に失ってしまいます。その結果、本来払う必要のなかった税金を何十万円、何百万円と支払うことになりかねません。
私のケースで言えば、月次顧問契約によって年間350万円のキャッシュが残りました。年間数十万円の顧問料など、圧倒的に回収できているのです。どちらが本当に「費用対効果が高い」かは、もはや言うまでもないでしょう。
どちらを選ぶべきかの判断基準としては、以下を参考にしてください。
- 月次顧問契約がおすすめの会社
年商1,000万円以上、節税を積極的に行いたい、融資を検討している - 決算のみ依頼でも良い会社
年商1,000万円未満、取引が非常にシンプル、経理に詳しい人材がいる
月次決算は自分でできる?税理士なしで対応する方法と判断基準
最近はfreeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトの進化が著しく、「税理士に頼らなくても、自分で月次決算ができるのでは?」と考える方も増えています。結論から言うと、ある程度のレベルまでは可能ですが、完全な代替は難しいというのが私の見解です。
クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生)で月次決算はどこまでできるか
クラウド会計ソフトの最大の強みは、銀行口座やクレジットカードを連携させることによる「仕訳の自動化」です。これにより、日々の記帳業務は劇的に効率化され、月次試算表もある程度自動で作成されます。
しかし、質の高い月次決算を行うには、それだけでは不十分です。具体的には、以下のような専門的な処理は、会計ソフトだけでは対応が難しい領域です。
- 決算整理仕訳
減価償却費の月割計上や、賞与引当金・退職給付引当金といった各種引当金の見積計上など、専門的な判断が必要な処理。 - 消費税の計算
課税区分の判定など、複雑な税務知識が求められます。 - 数字の正確性の担保
自動で取り込まれたデータが本当に正しいのか、勘定科目は適切か、といった最終的なチェックは、やはり専門家の目が必要です。
私の視点から言えば、「クラウド会計は非常に優秀なアシスタントだが、最終的な意思決定と責任を担う監督(=税理士)は不可欠」ということです。

自社で月次決算をやるべき会社・税理士に依頼すべき会社の判断基準
では、どのような会社が自社対応に向いていて、どのような会社が税理士に依頼すべきなのでしょうか。私の経験から、以下のような判断基準を提案します。
【自社対応が向いているケース】
- 年商が1,000万円未満
- 取引内容が非常にシンプル(仕訳数が少ない)
- 社内に経理や簿記の知識があるスタッフがいる
- まだ法人化しておらず、個人事業主である
【税理士に依頼すべきケース】
- 年商が1,000万円を超えている
- 消費税の課税事業者である
- 近い将来、銀行からの融資を検討している
- 節税対策を積極的に行い、キャッシュフローを最大化したい
- 経営者が本業に専念したい
多くの中小企業にとっては、「クラウド会計を導入して日々の記帳は自社で行い、税理士には月次でのチェックと経営アドバイス、そして決算申告を依頼する」というハイブリッド型が、最もコストパフォーマンスの高い選択肢になると考えられます。
月次決算で失敗しない税理士の選び方|7回変更した経営者が語る5つの見極めポイント
月次決算の価値は、担当する税理士の質に大きく左右されます。では、どうすれば「良い税理士」を見極めることができるのでしょうか。7回の税理士変更という高い授業料を払って学んだ、経営者目線の5つの見極めポイントをお伝えします。
ポイント①:月次決算の質と報告内容を確認する
契約前に、「どのような月次決算報告書を、いつまでに提出してくれるのか」を必ず確認してください。単に試算表をメールで送ってくるだけの税理士と、経営に活かせる分析レポートまで作成してくれる税理士とでは、雲泥の差があります。
【確認すべきチェックリスト】
- 報告のタイミング
理想は翌月の5営業日以内。遅くとも翌月15日までには欲しいところです。 - 報告書の分かりやすさ
専門用語ばかりでなく、グラフなどを活用して視覚的に分かりやすいか。 - 分析内容の深さ
前月比較や前年同月比較、予算実績比較など、経営に役立つ分析が含まれているか。 - 面談の有無と頻度
定期的に対面またはオンラインで報告・相談の機会を設けてくれるか。
ちなみに、私がようやく出会えた7人目の税理士は、毎月5営業日以内に、私が知りたいポイントがすべて網羅されたレポートを提出してくれます。このスピード感と質が、迅速な経営判断に直結しているわけです。
ポイント②:税務処理の正確性と経営アドバイスの両立
税理士には、大きく分けて2つのタイプがいます。「税務処理は正確だが、経営に関するアドバイスは一切ないタイプ」と、「経営アドバイスはしてくれるが、税務処理が雑なタイプ」です。私の6回にわたる失敗経験から断言しますが、どちらか一方だけでは片手落ちです。
理想は、税務のプロフェッショナルとしての正確な処理能力と、経営者のパートナーとしての的確なアドバイス能力を兼ね備えている税理士です。面談の際に、税務の話だけでなく、あなたの会社のビジネスモデルや将来のビジョンに関心を示してくれるかどうか、一つの判断基準にすると良いでしょう。

ポイント③:レスポンスの速さとコミュニケーションの質
月次決算は、毎月継続的にやり取りが発生するため、コミュニケーションの質、特にレスポンスの速さは非常に重要です。質問や相談に対して、数日間も返信がないような税理士では、経営のスピード感を損なってしまいます。
私が最初に契約した税理士は、確定申告の時期にしか連絡が来ないような方でした。これでは、月次決算を依頼する意味がありません。また、担当者が頻繁に変わる大手税理士法人も注意が必要です(3回目の変更理由がこれでした)。毎回同じ担当者に会社の状況を説明し直すのは、大きなストレスになります。

ポイント④:自社の業界・規模に合った専門性があるか
税理士にも、それぞれ得意な業界や事業規模があります。例えば、私の会社はIT業界ですが、5人目の税理士は「IT業界に強い」という触れ込みだったものの、業界特有の会計処理に関する知識はあっても、経営を伸ばすためのアドバイス力は弱い方でした。
自社の業界動向を理解し、同じような規模の会社の顧問経験が豊富な税理士であれば、より実践的なアドバイスが期待できます。過去の実績や顧問先の業種などを確認してみましょう。
ポイント⑤:費用だけで選ばない|「安さ」は最大のリスク
最後に、最も伝えたいことです。税理士を費用だけで選ぶのは、絶対にやめてください。 私が最初に税理士選びで失敗したのも、「とりあえず安ければいい」という安易な考えが原因でした。
格安の顧問料を提示する税理士事務所は、一見魅力的に見えるかもしれません。しかし、その裏では「サービス品質が低い」「経験の浅い担当者がつく」「相談してもまともな回答が返ってこない」といったリスクが潜んでいることがほとんどです。
質の低い税理士を選んだ結果、間違った申告をして後から追徴課税を受けたり、節税の機会を逃して何百万円も損をしたりしては、元も子もありません。複数の税理士から見積もりを取り、提示された料金にどのようなサービスが含まれているのかを詳細に比較し、費用対効果で総合的に判断することが、失敗しないための最大の秘訣です。
月次決算を税理士に依頼する流れ|契約から初回報告までのステップ
「良い税理士が見つかったら、具体的にどう進めればいいのか?」という方のために、月次決算を税理士に依頼する際の一般的な流れを6つのステップで解説します。特に最初の3ヶ月が重要です。
ステップ1:複数の税理士と面談・見積もり比較
まずは、税理士ベストなどの税理士紹介サービスなどを活用して、2〜3人の税理士候補をリストアップします。そして、必ず直接面談(オンラインでも可)を行いましょう。相性や人柄を確認するとともに、自社の状況を説明し、サービス内容と見積もりを比較検討します。
ステップ2:顧問契約の締結
依頼する税理士が決まったら、顧問契約を締結します。契約書では、特に以下の点を確認してください。
- サービス範囲 → 月次決算報告、税務相談、記帳代行など、どこまでが顧問料に含まれるのか。
- 料金体系 → 月額顧問料、決算料、オプション料金の詳細。
- 報告頻度と方法 → 月次報告のタイミングや面談の頻度。
ステップ3:初期データの共有
契約後、税理士が業務を開始するために必要な資料を共有します。クラウド会計ソフトを利用している場合は、税理士を招待してアカウントを連携するのが最もスムーズです。
- 過去2〜3期分の決算書・申告書
- 総勘定元帳
- 会社の定款
- 登記簿謄本
- すべての銀行口座の通帳コピー(またはWeb通帳の共有)
ステップ4:毎月の資料共有と記帳
日々の取引に関する資料(請求書、領収書、通帳データなど)を税理士と共有します。クラウド会計を導入していれば、このステップは大幅に自動化できます。記帳代行を依頼しない場合は、自社で記帳を進めます。
ステップ5:税理士による月次決算処理と報告
共有されたデータをもとに、税理士が月次決算処理を行い、月次試算表や報告書を作成します。ステップ1で確認した期日までに、これらの報告書が提出されます。
ステップ6:月次面談とPDCAサイクルの実践
報告書を受け取ったら、必ず税理士との面談の機会を設けましょう。報告書の内容について説明を受け、数字の背景にある課題や改善点について議論します。そして、そこで得られた気づきを翌月の経営活動に活かし、また次の月次決算で結果を検証する。この経営のPDCAサイクルを回していくことこそが、月次決算を成功させる鍵です。
私からのアドバイスは、「最初の3ヶ月は特に密にコミュニケーションを取ること」です。この期間にお互いの理解を深めるための投資を惜しまないことが、長期的に良好なパートナーシップを築く上で非常に重要になります。
よくある質問(FAQ)
最後に、月次決算に関して経営者の方からよくいただく質問にお答えします。
Q: 月次決算は法律で義務付けられていますか?
A: いいえ、月次決算は法律上の義務ではなく、企業が任意で行うものです。法律で義務付けられているのは、年に1回の年次決算のみです。ただし、私の経験から言えば、月次決算は「義務ではないが、やらないリスクの方が大きい」経営の生命線だと考えています。
経営判断を迅速にし、金融機関からの信用を高めるためにも、中小企業こそ積極的に取り組むべきです。
Q: 月次決算を税理士に依頼した場合の費用は月額いくらですか?
A: 法人の場合、月次決算を含む顧問契約の費用は月額3万円〜6万円が相場です。ただし、これは会社の年商規模や取引の複雑さ、税理士との面談頻度によって変動します。また、これとは別に、年に1回の決算申告料として月額顧問料の4〜6ヶ月分がかかるのが一般的です。
年商2,000万円規模の法人であれば、年間総額で50万円〜60万円程度が一つの目安となるでしょう。
Q: 月次決算と年次決算の違いは何ですか?
A: 最も大きな違いは「目的」です。年次決算は、税務署や株主といった外部への報告が主な目的ですが、月次決算は、経営者が自社の状況を把握するための内部向けの報告が目的です。そのため、年次決算が1円単位での正確性を求められるのに対し、月次決算は多少の概算処理が許容される代わりに、スピードが重視されます。
私に言わせれば、「年次決算だけの経営は、バックミラーしか見ずに高速道路を運転するようなもの」です。月次決算というフロントガラスがあって初めて、安全でスピーディーな運転が可能になります。
Q: 小規模事業者でも月次決算は必要ですか?
A: 年商1,000万円未満で、取引も非常にシンプルな個人事業主の方であれば、必ずしも毎月厳密な月次決算を行う必要はないかもしれません。しかし、消費税の課税事業者になったタイミングや、将来的に融資を検討しているのであれば、簡易的な形からでも月次決算を導入することを強く推奨します。
クラウド会計ソフトを使えば、ご自身でもある程度の管理は可能です。
Q: 今の税理士が月次決算をしてくれません。変更すべきですか?
A: まずは、現在の税理士になぜ月次決算を行ってくれないのか、あるいは報告の質がなぜ低いのかを率直に相談してみるべきです。その上で、改善が見られない、あるいは経営パートナーとしての意識が低いと感じるのであれば、税理士の変更を検討する重要なサインです。
私の7回の変更経験から断言しますが、月次決算を軽視する税理士は、あなたの会社の成長を真剣に考えているとは言えません。
Q: クラウド会計ソフトがあれば税理士なしで月次決算はできますか?
A: 日々の記帳や試算表の作成といった「作業」は、クラウド会計ソフトで大幅に効率化できます。しかし、その数字が本当に正しいかを検証し、決算整理仕訳を行い、最終的に経営に役立つ「アドバイス」に昇華させるのは、税理士という専門家でなければ難しい領域です。
最も費用対効果が高いのは、クラウド会計と税理士を組み合わせる「ハイブリッド型」の活用です。
Q: 月次決算の報告はいつまでに受け取れるのが理想ですか?
A: 一般的には「翌月15日まで」が一つの目安とされていますが、経営判断のスピードを考えるなら「翌月5営業日以内」が理想です。私の現在の税理士はこのスピードを実現してくれており、それによって翌月の初旬には経営戦略の修正や新たな打ち手を検討できています。
報告の速さは、税理士の業務効率と能力を測る重要なバロメーターです。
Q: 月次決算を依頼する税理士を変更する際の注意点は?
A: 税理士を変更する際は、現在の税理士との契約内容を確認し、解約の申し入れは1〜2ヶ月前までに行うのがマナーです。また、新しい税理士にスムーズに業務を引き継ぐために、過去の決算書や総勘定元帳などのデータを整理しておく必要があります。
何よりも、次の税理士選びで同じ失敗を繰り返さないために、この記事で紹介した「5つの見極めポイント」を参考に、慎重に選定してください。
まとめ
月次決算は、法律で定められた義務ではありません。しかし、変化の激しい現代において、中小企業が経営を安定させ、成長を加速させるためには、もはや不可欠な経営の仕組みであると私は確信しています。
税理士に月次決算を依頼するかどうかは、目先の費用ではなく、長期的な費用対効果で判断してください。年間数十万円の顧問料を支払うことで、節税効果、融資の円滑化、そして何よりも経営判断の精度向上という、それをはるかに上回るリターンが期待できます。
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