中小企業経営強化税制のA・B・C・D類型を比較|対象設備と要件の違い

「設備投資で使える税制がある」と聞いて調べてみたら、A類型・B類型・C類型・D類型と、やたらと分類が多い。正直に言うと、私も最初は何がどう違うのかさっぱり分かりませんでした。

弊社でも設備投資のたびに税理士と「どの類型で申請するか」を相談してきましたが、制度を理解するまでにかなりの時間を費やした記憶があります。しかもこの制度、2025年の税制改正でC類型が廃止され、新たにE類型が加わるという大きな変更がありました。

この記事では、中小企業経営強化税制の各類型について、対象設備・要件・手続きの違いを比較表つきで整理します。「自社ではどの類型が使えるのか」を判断する材料として、ぜひ活用してください。

【この記事の結論】中小企業経営強化税制(A〜E類型)の違いと選び方

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検討すべき類型どのような場合におすすめか?核心となる適用要件必要な証明書・手続き
A類型
(生産性向上設備)
新しい設備へ入れ替えたい場合
最も手続きが手軽
旧モデル比で年平均1%以上の生産性向上工業会証明書
(メーカー主導で取得可)
B類型
(収益力強化設備)
A類型の要件は満たさないが、高い収益が見込める場合投資利益率が年平均7%以上経済産業大臣の確認書
(税理士等の事前確認が必要)
D類型
(経営資源集約化設備)
M&Aや事業承継の後に設備投資を行う場合修正ROA等が一定水準以上向上経済産業大臣の確認書
(税理士等の事前確認が必要)
E類型
(経営規模拡大設備)
売上100億円を目指し、建物も含めた大規模投資を行う場合投資利益率7%以上売上100億円目標経済産業大臣の確認書
(投資計画とロードマップが必要)

※ C類型(デジタル化設備)は2025年3月で廃止されました。今後はA類型またはB類型での代替申請を検討してください。

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目次

中小企業経営強化税制とは?即時償却と税額控除の2大メリット

制度の概要と対象になる企業

中小企業経営強化税制は、設備投資を通じて経営力を高める中小企業を後押しする制度です。中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けたうえで対象設備を取得すると、即時償却または税額控除のいずれかを選んで適用できます。

対象になるのは、以下の条件を満たす企業・個人事業主です。

  • 資本金1億円以下の法人(大規模法人の子会社は除外)
  • 資本金がない法人は常時使用する従業員が1,000人以下
  • 青色申告書を提出していること
  • 個人事業主も青色申告をしていれば対象

適用期限は2027年(令和9年)3月31日まで。国税庁の解説ページに対象法人の詳細が記載されているので、自社が該当するか不安な方は確認してみてください。

即時償却と税額控除、それぞれの仕組み

即時償却は、設備の取得価額を全額その年の経費に計上する方法です。利益を大幅に圧縮できるため、利益が出ている年に設備投資をすると強力な節税効果があります。ただし、あくまで減価償却の「前倒し」なので、トータルの税負担が減るわけではない点には注意が必要です。

税額控除は、取得価額の7%(資本金3,000万円以下の法人・個人事業主は10%)を、その年の法人税額から直接差し引く方法です。法人税額の20%が上限で、控除しきれなかった分は翌事業年度に繰り越せます。

どちらか一方を選択する仕組みで、両方を同時に適用することはできません。どちらが有利かは後のセクションで詳しく触れます。

A類型(生産性向上設備)の対象設備と適用要件

対象設備と最低取得価額

A類型は「生産性向上設備」と呼ばれ、以下の設備が対象になります。

設備の種類最低取得価額販売開始時期
機械装置160万円以上10年以内
測定工具・検査工具30万円以上5年以内
器具・備品30万円以上6年以内
建物附属設備60万円以上14年以内
ソフトウェア70万円以上5年以内

「販売開始時期」は、設備が市場に出てからの年数です。あまりに古いモデルは対象外になるため、購入前に確認しておく必要があります。

生産性向上要件と工業会証明書の取得手続き

A類型の核心は生産性向上要件です。対象設備の生産性指標が、旧モデルと比較して年平均1%以上向上していることが条件になります。

2025年度の税制改正で、この生産性指標が以下の3つに整理されました。

  • 単位時間当たり生産量
  • 歩留まり率
  • 投入コスト削減率

いずれか1つの指標で旧モデル比1%以上の向上が確認できれば要件を満たします。

手続きの流れはシンプルです。設備メーカーに「工業会証明書」の発行を依頼すると、メーカーが該当する工業会等に申請してくれます。証明書の発行までは数日~2ヶ月程度。詳しい手続きは中小企業庁の工業会証明書ページに掲載されています。

私の経験では、A類型は設備メーカーが主導してくれるので、他の類型に比べて手続きの負担が軽い印象です。弊社でもソフトウェアの導入時にA類型を活用しましたが、メーカーに証明書の取得を依頼してからはほぼ待つだけで済みました。

B類型(収益力強化設備)の対象設備と適用要件

対象設備と投資利益率の基準

B類型は「収益力強化設備」と呼ばれ、対象設備のカテゴリ自体はA類型と同じです。ただし、判定基準がまったく異なります。

A類型が「設備単体の生産性」を見るのに対し、B類型は投資計画全体の収益力で判断します。具体的には、投資利益率が年平均7%以上であることが条件です。

この7%という基準は、2025年度の税制改正で引き上げられたもので、改正前は5%でした。ハードルが上がった分、B類型の適用は以前より厳しくなっています。

一方で、B類型には「旧モデルとの比較」が不要というメリットがあります。A類型の生産性要件を満たさない設備でも、投資計画として利益率の見込みが高ければ対象になり得る。これがB類型の存在意義です。

経済産業大臣の確認書と手続きの違い

B類型の手続きはA類型より手間がかかります。流れは以下の通りです。

  1. 公認会計士または税理士が投資計画を事前確認
  2. 経済産業局に確認書の発行を申請
  3. 確認書を取得(数日~1ヶ月程度)
  4. 経営力向上計画に確認書を添付して申請

A類型は「工業会証明書」を設備メーカー経由で取得するのに対し、B類型は「経済産業大臣の確認書」を自分で申請する必要があります。税理士や公認会計士の事前確認も必須なので、準備期間を長めに見ておくのが無難です。

C類型(デジタル化設備)は2025年3月で廃止

旧C類型の概要と廃止の経緯

C類型は「デジタル化設備」として、遠隔操作・可視化・自動制御化のいずれかを実現する設備を対象とした類型でした。しかし、2025年(令和7年)3月31日をもって廃止されています。

廃止の背景として考えられるのは、DXの浸透により、多くの設備がデジタル機能を標準搭載するようになったことです。「デジタル化」という区分自体が実態に合わなくなってきたという見方もあります。

記事タイトルに「C類型」と入れていますが、これは検索する方がまだ多いためです。現在はC類型で申請することはできません。旧C類型の対象だった設備は、A類型の生産性要件やB類型の投資利益率要件を満たせば引き続き制度を活用できます。税理士と相談のうえ、代替の類型を検討してください。

D類型(経営資源集約化設備)の対象設備と適用要件

M&A後の設備投資を後押しする類型

D類型は「経営資源集約化設備」と呼ばれ、事業承継やM&Aを行った後の設備投資を支援する類型です。2021年度(令和3年度)の税制改正で新設されました。

対象設備のカテゴリはA類型・B類型と共通ですが、要件が特殊です。投資計画の終了時点で、修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定の水準以上に向上する見込みであることが条件になります。

手続きはB類型と同様、経済産業大臣(経済産業局)による確認書の取得が必要です。

D類型はM&Aが前提になるため、すべての中小企業に関係する類型ではありません。ただし、近年は後継者不足を背景にM&Aで会社や事業を引き継ぐケースが増えています。事業承継後に「生産設備を刷新したい」「引き継いだ工場の設備を入れ替えたい」といった場面では、D類型が有力な選択肢になります。

【2025年新設】E類型(経営規模拡大設備)の概要と要件

E類型の対象企業と適用要件

2025年度の税制改正で新たに加わったのがE類型(経営規模拡大設備)です。成長意欲のある中小企業を後押しする狙いがありますが、適用要件はかなり限定的です。

  • 前期の売上高が10億円超~90億円未満の法人であること
  • 売上高100億円を目指す事業計画(ロードマップ)を策定していること
  • 投資利益率が年平均7%以上
  • 投資額が1億円以上、または前期売上高の5%以上

中小企業庁が推進する「100億宣言」に基づく取り組みとも連動しています。売上高100億円を本気で目指す中小企業に向けた、かなりピンポイントの制度です。

建物が対象になる初の類型|税制措置の違い

E類型の最大の特徴は、建物および附属設備(取得価額1,000万円以上)が初めて対象に含まれたことです。工場・物流施設・事務所の新設や増設に伴う設備投資で活用できます。

ただし、建物・附属設備のみの単独取得は対象外です。生産性向上に資する設備(機械装置等)の導入に伴って新増設される場合に限られます。

税制措置は建物とそれ以外で異なります。

設備の種類即時償却/特別償却税額控除
機械装置・ソフトウェア等即時償却(100%)10%(資本金3,000万円超は7%)
建物・附属設備(給与増加2.5%以上)特別償却15%1%
建物・附属設備(給与増加5%以上)特別償却25%2%

建物の措置は、供用年度における給与の増加割合に連動します。給与増加割合が2.5%未満の場合は建物部分の措置を受けられません。

注意点として、E類型の適用中は中小企業投資促進税制少額減価償却資産の特例が使えなくなります。また、経済産業局への確認申請前に建物の着工を開始すると対象外になるため、手続きの順番を間違えないことが重要です。

A・B・D・E類型を一目で比較|対象設備・要件・手続きの違い

各類型の比較一覧表

スクロールできます
項目A類型B類型D類型E類型
名称生産性向上設備収益力強化設備経営資源集約化設備経営規模拡大設備
核心要件生産性指標が旧モデル比年平均1%以上向上投資利益率が年平均7%以上修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上向上投資利益率7%以上+売上100億円目標
必要な証明書工業会等の証明書経済産業大臣の確認書経済産業大臣の確認書経済産業大臣の確認書
申請の手間比較的少ない(メーカー主導)やや多い(税理士の事前確認要)やや多い(B類型と同様)多い(投資計画+ロードマップ要)
証明書発行の目安数日~2ヶ月数日~1ヶ月数日~1ヶ月数日~1ヶ月
建物の対象対象外対象外対象外対象(1,000万円以上)
想定ケース新しい設備への入替え収益力が見込める投資全般M&A・事業承継後の投資売上100億円を目指す成長投資

A類型からD類型まで、機械装置・器具備品・建物附属設備・ソフトウェア等の対象設備カテゴリと最低取得価額は共通です。違いは「何を基準に判定するか」と「誰に証明書を発行してもらうか」の2点に集約されます。

自社に合う類型の選び方

類型選びの判断基準を整理します。

  1. M&Aや事業承継が関係する設備投資 → まずD類型を検討
  2. 売上高10億円超で100億円を目指している → E類型を検討
  3. 設備メーカーから工業会証明書が取得可能 → A類型が最も手軽
  4. A類型の要件を満たさないが投資利益率7%以上を見込める → B類型

私の経験から言うと、A類型で対応できるならA類型が一番楽です。弊社でもまずA類型で申請できるかを確認して、無理ならB類型を検討するという順番で進めていました。いずれにしても、具体的にどの類型で申請するかは顧問税理士と相談して決めるのが確実です。

即時償却と税額控除はどちらを選ぶべきか

即時償却が向いているケース

即時償却は「今すぐキャッシュを確保したい」場面に向いています。

  • 今期の利益が大きく、法人税負担を抑えたい
  • 翌期以降の業績が読めない
  • 手元資金を厚くして次の投資に備えたい

ただし、即時償却はあくまで減価償却費の前倒しです。トータルで見た税負担は変わらない点は理解しておく必要があります。また、一括で経費計上すると決算書上の利益が減るため、銀行融資の審査に影響する可能性もあります。

税額控除が向いているケース

税額控除は「長期的に法人税の負担を減らしたい」場面に強みがあります。

  • 安定的に利益が出ていて、長期的に節税したい
  • 決算書の利益を維持したい(銀行融資への影響を避けたい)
  • 法人税率が低い場合(税額控除の方が有利になりやすい)

注意点として、税額控除には法人税額の20%という上限があります。控除しきれなかった分は翌事業年度に繰り越せますが、1年間のみです。

弊社では利益が大きかった年に即時償却を選び、安定期には税額控除を選んできました。結局のところ、自社の決算状況をもとに税理士と相談して判断するのが一番確実です。設備投資のタイミングと決算時期の兼ね合いも重要なので、早めに税理士と話しておくことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q: 中小企業経営強化税制は個人事業主でも使えますか?

使えます。青色申告をしている個人事業主であれば対象です。税額控除は所得税額の20%が上限になります。経営力向上計画の認定を受ける必要がある点は法人と同じです。

Q: 経営力向上計画は設備取得後に申請しても大丈夫ですか?

原則として設備取得前に認定を受ける必要があります。ただし、設備取得後60日以内に経営力向上計画が受理されれば遡及適用が認められるケースもあります。確実に適用を受けたいなら事前認定が基本です。税理士と一緒にスケジュールを組んでおくと安心です。なお、E類型については60日ルールが適用されないため、必ず確認申請を先に行う必要があります。

Q: 中古設備でも中小企業経営強化税制は適用されますか?

対象は新品の設備のみです。中古品や貸付用の資産は対象になりません。

Q: A類型の工業会証明書はどのくらいで取得できますか?

設備メーカーを通じて工業会等に申請し、証明書が発行されるまで数日~2ヶ月程度です。工業会やメーカーによって期間が異なるため、設備の検討を始めた段階で早めにメーカーに相談しておくのがポイントです。

Q: C類型が廃止された後、デジタル設備はどの類型で申請すればいいですか?

旧C類型の対象だった設備も、A類型(生産性向上要件を満たす場合)やB類型(投資利益率7%以上の場合)で申請可能です。設備の特性と自社の投資計画に合わせて、税理士と適切な類型を選んでください。

Q: 即時償却と税額控除は翌年度に変更できますか?

一度選択した年度内での変更はできません。翌年度に別の設備を取得した場合は、その設備について改めて選択が可能です。

まとめ

中小企業経営強化税制は、設備投資の節税手段として非常に強力な制度です。現在はA類型(生産性向上)・B類型(収益力強化)・D類型(経営資源集約化)・E類型(経営規模拡大)の4類型が利用でき、C類型(デジタル化設備)は2025年3月で廃止されました。適用期限は2027年3月31日までです。

対象設備のカテゴリは各類型で共通する部分が多いですが、求められる要件と手続き(証明書の取得先)が異なります。A類型が最も申請の負担が少なく、まずはA類型で対応できるかを確認するのが現実的な進め方です。

私が7回の税理士変更を通じて感じたのは、こうした税制の活用提案は税理士の力量が問われる場面だということです。「設備投資したいんだけど、使える制度はある?」と聞いたときに、具体的な類型と手続きまで案内してくれる税理士なら安心できます。

逆に、そうした提案が一切ない場合は、税理士との関係を見直すきっかけになるかもしれません。

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この記事を書いた人

株式会社ウェブブランディングの創業メンバー・税理士ベスト事業部長。税理士選びを担当する中で14年間で7回の変更を経験。自らが選んだ税理士のミスで社長に1,500万円の役員貸付金を発生させた苦い経験から「税理士ベスト」を立ち上げる。経営者の税理士選びをサポート。

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