個人事業主の法人化タイミングとは?メリット・デメリットから最適な時期まで徹底解説

7回税理士を変更した私が断言します。
法人化のタイミングを間違えると、数百万円単位で損をする可能性があります。

私自身、過去に税理士選びで失敗し、社長に1,500万円もの役員貸付金を発生させてしまった苦い経験があります。
法人化は、節税や信用力向上など多くのメリットがある一方で、タイミングやパートナー選びを誤ると、かえって経営を圧迫するリスクも孕んでいます。

この記事では、私の失敗と成功体験に基づき、単なる制度解説に留まらない「本当に得する法人化のタイミング」と「失敗しないためのポイント」を、包み隠さずお伝えします。

【この記事の結論】個人事業主が法人化を検討すべき2大タイミング

タイミングの観点検討すべき基準
消費税の観点課税売上高が「1,000万円」を超えたとき
所得税 vs 法人税の観点事業所得が「800万円」を超えたとき
個人事業主の法人化タイミング 2つの重要な判断基準の図解
法人化は収益の安定性と社会保険料負担を十分に検討してから。信頼できる税理士との相談が成功の鍵です。
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目次

個人事業主が法人化を検討すべき2大タイミング【結論】

法人化を検討する際、多くの経営者が悩むのが「いつが最適なタイミングなのか?」という問題です。
結論から言うと、事業の状況によって一概には言えませんが、税金の観点から見て、大きく2つのタイミングが挙げられます。

課税売上高が1,000万円を超えたとき【消費税の観点】

個人事業主は、課税売上高が1,000万円を超えた年の2年後から、消費税の納税義務が発生します。例えば、2024年の課税売上高が1,000万円を超えた場合、2026年から消費税を納める必要があります。

しかし、ここで法人化という選択肢が出てきます。資本金1,000万円未満で法人を設立すると、原則として設立から最大2年間、消費税の納税が免除されます。これは、法人と個人は別人格として扱われるため、個人事業主時代の売上はリセットされるからです。

例えば、年間売上1,100万円(消費税10%)の場合、納税額は100万円です。法人化によって2年間免除されれば、単純計算で200万円の資金が手元に残ることになります。これは、事業の成長にとって非常に大きなアドバンテージです。

ただし、2023年10月から始まったインボイス制度には注意が必要です。免税事業者からの仕入れがある場合、仕入税額控除が段階的に縮小されます。2026年10月からは、控除できる割合が80%から70%に減少するため、取引先の状況によっては、免税期間のメリットが薄れる可能性もあります。

法人化を検討する際は、インボイス制度の影響も踏まえて、税理士と相談することが不可欠です。

出典元: 免税事業者等からの仕入れに係る経過措置

事業所得が800万円を超えたとき【所得税vs法人税の観点】

もう一つの大きな目安が、事業所得(売上から経費を差し引いた利益)が800万円を超えるタイミングです。これは、個人に課される「所得税」と、法人に課される「法人税」の税率構造の違いに起因します。

所得税は、所得が増えるほど税率も高くなる「累進課税」が採用されており、最高税率は45%にものぼります。一方、法人税は資本金1億円以下の中小企業の場合、所得が年800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分は23.2%と、一定の税率になっています。

所得税と法人税の税率比較

課税所得金額所得税率(個人)法人税率(中小法人)
~800万円5%~23%15%
800万円超~23%~45%23.2%

上の表からも分かる通り、所得が800万円から900万円あたりを超えると、所得税率が法人税率を上回る「税率の逆転現象」が起こります。このタイミングで法人化し、役員報酬という形で給与を受け取ることで、「給与所得控除」というサラリーマンと同じような控除が適用され、個人の税負担を大きく軽減できるわけです。

私自身、この仕組みを活用したことで、年間350万円ものキャッシュフロー改善を実現しました。ただし、最適な役員報酬の額は、個人の状況や会社の利益計画によって大きく異なります。

設定を誤るとかえって損をするケースもあるため、必ず税理士と綿密なシミュレーションを行うようにしてください。

【比較一覧】法人化のメリット・デメリットを徹底検証

法人化は税金面でのメリットが大きい一方で、デメリットも存在します。両者を正しく理解し、総合的に判断することが重要です。

法人化で得られる5つのメリット

  1. 節税効果が高い
    • 給与所得控除の活用
      役員報酬を設定することで、個人の所得税・住民税を軽減できます。
    • 経費にできる範囲の拡大
      自宅を社宅扱いにして家賃の一部を経費にしたり、生命保険料を経費にできる場合があります。
    • 欠損金の繰越期間が長い
      赤字(欠損金)を最大10年間繰り越せるため、将来の黒字と相殺できます(個人事業主は3年間)。
  2. 社会的信用が向上する
    • 法人格を持つことで、金融機関からの融資が受けやすくなったり、大手企業との取引が有利に進むことがあります。
  3. 有限責任になる
    • 個人事業主は事業上の負債をすべて個人で負う「無限責任」ですが、株式会社や合同会社は、出資額の範囲内でのみ責任を負う「有限責任」となります。
  4. 決算期を自由に設定できる
    • 個人事業主の事業年度は1月1日~12月31日と決まっていますが、法人は自由に決算月を設定できます。自社の繁忙期を避けて設定することで、余裕を持った決算・納税が可能です。
  5. 事業承継がしやすい
    • 株式の譲渡によって事業承継ができるため、個人事業に比べてスムーズに次世代へ事業を引き継ぐことができます。

法人化で注意すべき5つのデメリット

  1. 設立・維持にコストがかかる
    • 設立費用
      株式会社で約20~25万円、合同会社でも約6~10万円の法定費用がかかります。
    • 維持費用
      たとえ赤字でも、法人住民税の均等割として最低でも年間約7万円の納税義務があります。その他、税理士への顧問料なども発生します。
  2. 事務負担が増大する
    • 会計処理が複雑になり、決算申告も自分で行うのは困難です。社会保険の手続きなど、バックオフィス業務の負担が増えます。
  3. 社会保険料の負担が増える
    • 法人になると、社長一人であっても社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられます。保険料は会社と個人で折半しますが、会社負担分だけでも役員報酬の約15%にのぼり、大きなコスト増となります。
  4. お金の自由度が下がる
    • 会社の資金を個人的な目的で自由に使うことはできません。生活費は、決められた役員報酬から受け取ることになります。
  5. 廃業手続きが煩雑
    • 個人事業の廃業は比較的簡単ですが、法人の解散・清算には、費用と時間がかかります。

「正直、法人化して後悔しました…」よくある失敗事例と回避策

「もっと慎重に検討すればよかった…」法人化後にそう後悔する経営者は少なくありません。ここでは、よくある失敗事例とその回避策をご紹介します。

事例1:思ったより節税効果がなかった…【収益不安定型】

「売上が伸びてきたから」と安易に法人化したものの、その後の収益が不安定で、節税メリットを享受できないケースです。むしろ、赤字でも発生する法人住民税(年間約7万円)や社会保険料の負担が重くのしかかり、資金繰りを圧迫してしまいます。

【回避策】
目先の売上だけでなく、将来にわたって安定した利益が見込めるかを慎重に判断することが重要です。少なくとも2~3年分の事業計画を立て、複数のシナリオで収支をシミュレーションしてみましょう。

事例2:社会保険料の負担が重すぎる!【コスト軽視型】

法人化による社会保険料の負担を甘く見積もっていたために、資金繰りが悪化するケースです。役員報酬の約30%(会社負担分と個人負担分の合計)が社会保険料として引かれるインパクトは絶大です。例えば、役員報酬を月額50万円に設定した場合、年間で約180万円もの社会保険料が発生します。

【回避策】
法人化を検討する段階で、役員報酬をいくらに設定し、社会保険料がいくらになるのかを正確にシミュレーションすることが不可欠です。税理士に相談すれば、詳細なシミュレーションを作成してくれます。

事例3:税理士のミスで1,500万円の借金が…【パートナー不在型】

これは、何を隠そう私自身の話です。法人化直後、知人から紹介された若手の税理士に経理を任せていました。

しかし、彼の経験不足による経理処理のミスが原因で、気づいた時には社長個人が会社に対して1,500万円もの「役員貸付金」を負っているという、信じがたい事態に陥ってしまいました..。

役員貸付金とは、会社から役員への貸付金のことです。これは銀行から見れば「会社のお金を社長が私的に流用している」と判断され、融資審査で致命的なマイナス評価を受けます。さらに、会社は社長から利息を受け取らなければならず、税務調査で指摘されれば追徴課税のリスクもあります。

結果として、社長は実際には借りていないにも関わらず、この架空の借金を解消するために、今も毎月30万円以上を会社に「返済」し続けています。

【回避策】
法人化は、単なる手続きではありません。会社の未来を左右する重要な経営判断です。だからこそ、設立手続きを依頼するだけでなく、設立後の資金繰りや税務戦略について、親身になって相談できる経験豊富な税理士をパートナーに選ぶことが、失敗を回避する最大の防御策となります。

あえて「法人化しない」という選択肢|個人事業主のままでいるべき人とは?

法人化には多くのメリットがありますが、すべての個人事業主にとって最適な選択とは限りません。以下のような方は、あえて法人化せず、個人事業主のままでいる方が良い場合もあります。

事業拡大を考えていない・自由を重視する人

法人化すると、良くも悪くも「会社」という組織になります。社会保険への加入義務や、厳格な会計処理、お金の自由度が下がるといった制約も生まれます。

今後、事業を大きく拡大する予定がなく、今の規模で自由に働きたいという方は、無理に法人化する必要はないでしょう。

利益が低い・収益が不安定な人

前述の通り、法人化の最大のメリットである節税効果は、一定以上の利益があって初めて享受できるものです。利益が低い段階や、収益が不安定な時期に法人化すると、設立・維持コストや社会保険料の負担がメリットを上回ってしまいます。

まずは事業を安定させ、継続的に利益を出せる体質を作ることが先決です。

法人化を決めたら|手続きの流れと最適な設立時期

法人化を決意したら、計画的に手続きを進めましょう。

会社設立の6ステップ【最短2週間】

会社設立の手続きは、専門家に依頼するのが一般的ですが、大まかな流れは以下の通りです。

  1. 会社形態の決定
    株式会社か合同会社かなど、基本事項を決定します。
  2. 定款の作成・認証
    会社のルールである定款を作成し、株式会社の場合は公証役場で認証を受けます。
  3. 資本金の払込
    発起人個人の銀行口座に資本金を払い込みます。
  4. 登記申請書類の作成
    法務局に提出する登記申請書類を作成します。
  5. 登記申請
    法務局に登記申請を行います。この申請日が会社の設立日となります。
  6. 設立後の届出
    税務署や都道府県税事務所、年金事務所などに、法人設立に関する届出を行います。

株式会社と合同会社の設立費用比較

費用項目株式会社合同会社
定款用収入印紙代40,000円(電子定款なら0円)40,000円(電子定款なら0円)
定款認証手数料30,000円~50,000円不要
登録免許税資本金の0.7%(最低150,000円)資本金の0.7%(最低60,000円)
合計(目安)約220,000円~約100,000円~

決算月はいつがいい?繁忙期を避けるのが鉄則

法人は決算月を自由に決められるのがメリットの一つです。決算月を決める際は、以下の点を考慮しましょう。

自社の繁忙期を避ける

決算業務と本業の繁忙期が重なると、負担が非常に大きくなります。

資金繰りに余裕のある月を選ぶ

税金の支払いは、原則として決算月の2か月後です。キャッシュが潤沢な時期に納税できるよう設定するのが理想です。

税理士の繁忙期を避ける

多くの会社が3月決算のため、税理士の繁忙期は12月~5月頃に集中します。この時期を避けることで、より手厚いサポートを受けやすくなります。

【重要】法人化の成否は「税理士選び」で9割決まる

ここまで法人化のタイミングや手続きについて解説してきましたが、最も重要なことをお伝えします。それは、「法人化の成功は、どんな税理士をパートナーに選ぶかで9割決まる」ということです。

私が7回の税理士変更で学んだ「失敗しない税理士選び」3つのポイント

私はこれまでに7回も税理士を変更してきました。その痛い経験から学んだ、「本当に信頼できる税理士」を見極めるための3つのポイントをお伝えします。

1. 安さだけで選ばない

顧問料の安さは魅力的ですが、安さには理由があります。記帳代行しかしてくれない、相談に乗ってくれない、担当者がコロコロ変わる…私の1,500万円の失敗も、格安料金を謳う税理士に依頼したことが発端でした。

会社の未来を左右するパートナー選びを、値段だけで決めるのは絶対にやめるべきです。

2. あなたの業界に詳しいか

税務や会計のルールは、業界の慣習によっても異なります。特にIT業界や建設業界など、専門性が高い分野では、その業界に精通した税理士でなければ、適切なアドバイスは期待できません。

自社のビジネスモデルを深く理解してくれる税理士を選びましょう。

3. 経営のアドバイスができるか

単に税金の計算をするだけの税理士は、もはや時代遅れです。資金繰りの相談、融資のサポート、経営計画の策定支援など、経営者の孤独に寄り添い、共に会社の未来を考えてくれる「経営のパートナー」となりうる人物かを見極めることが最も重要です。

法人化を相談するならどのタイミング?

「法人化しようかな」と少しでも考え始めたら、できるだけ早い段階で税理士に相談することをおすすめします。なぜなら、税理士は税金の専門家であると同時に、多くの会社の経営を見てきたプロフェッショナルだからです。

あなたの事業内容や収益状況、将来の展望を伝えることで、「そもそも本当に今が法人化すべきタイミングなのか?」「するならどんな準備が必要か?」といった根本的な部分から、的確なアドバイスをもらえます。

できれば、複数の税理士に会って話を聞き、最も信頼でき、相性が良いと感じるパートナーを見つけることが、後悔しない法人化への第一歩です。

よくある質問(FAQ)

Q: 法人化にかかる費用は全部でいくらですか?

A: 株式会社の設立には約20~25万円、合同会社なら約6~10万円の実費がかかります。これに加えて、税理士への顧問料(年間30万円~)や社会保険料などの維持費が発生します。

Q: 法人化の手続きは自分でもできますか?

A: はい、ご自身でも可能ですが、非常に手間がかかり、ミスも起こりやすいため、専門家(司法書士や税理士)に依頼することをおすすめします。特に、設立後の税務届出などは複雑なため、税理士に任せるのが安心です。

Q: 決算月は何月にするのがおすすめですか?

A: ご自身の事業の繁忙期を避け、資金繰りに余裕のある月を選ぶのが基本です。消費税の免税期間を最大限活用するために、事業年度の開始日を工夫する戦略もありますので、税理士にご相談ください。

Q: 役員報酬はいくらに設定すればいいですか?

A: 役員報酬の金額は、会社の利益、個人の税金・社会保険料のバランスを考慮して慎重に決める必要があります。一度決めると1年間は変更できないため、事前に税理士と綿密なシミュレーションを行うことが不可欠です。

Q: 2026年以降の税制改正で注意すべき点はありますか?

A: 2026年4月以降に開始する事業年度から「防衛特別法人税」が導入され、法人税額から500万円を控除した金額に4%が上乗せされます。また、インボイス制度の「2割特例」が2026年9月末で終了するため、消費税の納税戦略も改めて検討が必要です。最新の税制に対応するためにも、専門家である税理士のサポートは欠かせません。

参考: 防衛特別法人税が創設されました
参考: 2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要

まとめ

法人化の最適なタイミングは、売上1,000万円、所得800万円という数字がひとつの目安になります。しかし、最も重要なのは、ご自身の事業の将来像と、信頼できるパートナーの存在です。

私の1,500万円の失敗談からも分かる通り、専門知識のないまま手続きを進めるのは非常に危険です。法人化はゴールではなく、事業を成長させるためのスタートです。

後悔のないスタートを切るためにも、まずは信頼できる税理士を見つけ、あなたの会社の未来についてじっくりと相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

税理士ベストでは、あなたの会社に最適な税理士を無料でご紹介しています。

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✓ 私が7回も税理士を変更した理由、それは…
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税理士選びで失敗すると、年間数百万円のキャッシュを失います。
私自身、2人目の税理士の経理処理ミスで社長に役員貸付金1,500万円が発生し、
社長は今も毎月30万円以上を返済し続けています。私が選んだ税理士のミスで、社長に大きな負担をかけてしまいました。

でも、7社目の税理士に出会ってから、年間350万円のキャッシュが残るようになりました。

「税理士を変えたいけど、どうやって探せばいいかわからない…」

だからこそ、私は自らの失敗経験を活かして「税理士ベスト」を創りました。
私のような苦い経験をする経営者を減らしたい。その一心で立ち上げたサービスです。まずは無料で相談してみてください。

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この記事を書いた人

株式会社ウェブブランディングの創業メンバー・税理士ベスト事業部長。税理士選びを担当する中で14年間で7回の変更を経験。自らが選んだ税理士のミスで社長に1,500万円の役員貸付金を発生させた苦い経験から「税理士ベスト」を立ち上げる。経営者の税理士選びをサポート。

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